JBIはなぜ中小企業のFileMaker未経験者/初級者に自作システム支援を始めたのか(後編)


ジャパン・ビット・イノベーションの代表である永澤(ながにぃ)はなぜFileMakerで事業をしようと思ったのか、なぜFileMakerの可能性を感じたのかを2部構成でご紹介しています。

本記事は(後編)になります。




JBIはなぜ中小企業のFileMaker未経験者/初級者に自作システム支援を始めたのか

(前編)
  • FileMakerとの出会い
  • 人生の迷い、葛藤、そして旅
  • 自分はなにをして生きていけばいいのか
  • ビジネスの世界へ
  • FileMakerとの再会
(前編)を読む >


(後編)
  • 唐突にやってきた試練
  • 試練を乗り越えて見えたもの
  • そして独立、小舟で大海原へ
  • 成長させてくれた失敗
  • FileMakerの仕事を選んで良かった
  • 生産管理システムに挑む
  • 共に成長し、共に感謝し合えること
  • 未経験者や初級者にも可能性が拡がるFileMaker




唐突にやってきた試練


派遣先での僕のミッションは2つありました。

制作担当者の1人が長く休暇を取るとのことで、その間の運用を滞りなくできるようにすること。広告で日々上がってくる数字をFileMaker上で集計できるファイルを作ること。この2つでした。






FileMakerはかなり久しぶりに触ったし、他人が作ったFileMakerを触るのはほとんど初めてでした。そうなると、まずは先行者の制作内容を理解しないといけません。これはかなり時間がかかる作業です。

そういうこともあり責任者の方にはどうやら僕のパフォーマンスが物足りなく映ったようでした。前述のことを思えば、当然「即戦力」としては不足していたのは事実です。

ある日、会議室に呼び出されてかなりキツイ叱責を受けました。理不尽とも言いがかりとも取れるような内容だったようにも思いましたが・・・。






入ってまだ3ヶ月の単なる派遣にそこまで言うのか、というショッキングな出来事で、下唇を噛んでこらえていたのを覚えています。

当然そのとき思ったのは、「辞める」という選択肢です。派遣の身ですから、僕自身は別にどうということはありません。





ただ、ここで僕自身面白いと思ったのは、数年間の作詩家志望の生活のお蔭で心の平静を比較的短時間に取り戻していたことでした。

この一連の出来事を「天が与えた試練だ」と意味づけてしまうことで、すっかり冷静に物事を判断していたのです。





冷静になって決めたことは、「辞めるにしても切りのいいところまでやり遂げてからにしよう」でした。

理由は、
  • そこまで言われて内心悔しかったこと
  • 紹介してくれた派遣元の会社の評判が悪くなってほしくないこと
  • そして何よりその責任者の方の会社内での立場が悪くなるだろうこと
の3つです。




特に3つめの理由に最もフォーカスして、その責任者の方のためにミッションを完遂しようと決めました。

僕に怒声を浴びせた人のために?・・・。そうです、それが最も「Win-Win-Win」になると僕なりに導き出したのです。後ほど出てきますが、結果的にはこれが正解でした。





後々の話になりますが、実はその責任者の方は仕事に対してすごくシビアで、筋が通らないとすぐに沸点に達する方だったと分かってきました。

結果的にに僕がミッションを達成してその方から認められるのですが、その後は仲良く一緒にランチに行くまでになりました(笑)。

どうやら策略的に叱責することもあるようで、まんまとやられた感じです。根っこの部分はすごく良い方だったのです。





このように刺激的に過ごすうち、だんだんFileMakerで独立する道筋が見え始めてきました。



試練を乗り越えた先に見えたもの


派遣先で責任者の方に叱責され、でも逆にその方のためにミッションを完遂しようと決めてからは休日返上で自分なりにFileMakerの研究と勉強をしました。





クロス集計と言われる集計方法などはこの時の研究と勉強のお蔭で身につきました。※クロス集計…2つの項目をかけ合わせて同時に集計したもの。例えば月次の商品別売上など。

そうした努力の甲斐あってミッションを成し遂げ、その責任者の方からはついに認めてもらえるようになりました。

FileMakerでの仕事も次々と割り当てて頂き、スキルはどんどん身に付いていって自信もついてきました。







僕自身がうまく行き始めるとチーム(6名程度)もうまく回り始め、次々と社内の情報管理システムが作られていくのを目の当たりにしました。

チームは僕を含めて特別にITのスペシャリストがいたわけではありません。VBAが出来る人が2人くらいいた程度です。

FileMaker は、そんなチームにも多くの恩恵をもたらし、会社に貢献する「ピンポイント」なシステムの地位を築いていきました。



「もしかして、FileMaker ひとつあれば、何でも出来てしまうのではないか?」



そんな思いが、その頃から頭によぎることが多くなりました。

FileMaker があれば、
  • 「こんな情報管理ができたらいいな」を形にすることができる
  • 自分好みに自在に作れるから仕事が楽しくなる
  • 業務効率化で作業時間は減り、逆に人生の充足時間(好きなことに使える時間)が増える
これらを実現できる可能性を大いに感じてワクワクし、こんな思いも抱くようになりました。


「このような人が増えれば日本はもっと良くなるに違いない」

そして独立、小舟で大海原へ

同時並行的にビジネスの勉強もしていたので、仕事がうまくいき始めた頃から「FileMakerで独立するのが良いのではないだろうか?」という考えが浮かんでいました。

独立してビジネスをした方がより多くの人を助けることができ、僕の人生テーマでもある「日本への還元」にも繋がっていきます






ただ、ビジネスは継続するのが難しいと言われます。そこで主に次の2つに焦点を当てて模索しました。

  1. 時間を忘れて夢中になれるかどうか( ≒ 苦痛を感じず続けられることかどうか)
  2. 世の中にニーズがあるかどうか( ≒ 困った人がいるかどうか)


FileMakerで何かを作るのは楽しく、つい夢中になって時間を忘れてしまいます。1.は充分クリアしていました。






問題は2.です。果たして世の中にニーズはあるのでしょうか。ただ、FileMakerは案外使っている人も多いはずで(小さな広告代理店会社でも扱っているくらいですから)、もしかしたらニーズはあるのではないか。少なくとも水墨画よりはニーズはあるだろう、ということが決め手になりました。2.は仮でクリアです。






広告代理店の会社では、途中で派遣から正社員にしてもらうなど結果的には良い待遇を頂きましたが、ミッションが完遂したら辞めようと思っていたので2年間の勤務(修行?)を自ら終わらせました。

そして2018年4月、僕はFileMaker事業で独立しました。ついに大きな波が立つ海原へ漕ぎ出したのです。






といっても「商売」や「ビジネス」がまだまだ分からず、いわば手で水面をかき進むような状態でした。

そして案の定・・・・・・



成長させてくれた失敗

恥ずかしながら、これから2つの失敗を紹介したいと思います。






僕が初めてFileMakerをお教えしたのは大学病院のインプラント歯科医さんで女性の方でした。

これまで紙で患者さんの記録をしていたのをFileMakerで電子化したいとのご要望です。






自分で作るのと人さまに教えるのではもちろん勝手が違います。当時、僕はまだまだ教える技術が足りませんでした。

数回ほどお教えしてそれなりに形にはなったものの、僕もその方も結局満足な出来にはなりませんでした。

お忙しい方だったので回数にも制限はありましたが、その方が一番必要としていた集計のところで良い提案ができなかったのです。これは今でも非常に悔しく思っています。





初心者の方へのノウハウが定まってきた今なら、きっと導けたはずだと思うとすごく悔しくて残念で仕方ありません。。(もしもこの記事をご覧になり、もう一度トライするときは是非ご連絡ください。)




もう一つ、こちらも歯医者さんでした。

複数の動画をまとめてインポートしたいというご要望でしたが、その方のFileMakerファイルを見て背中に冷や汗が流れました。

プロ顔負けのカッコイイ画面がそこにはあり、既にほとんど完成されたシステムになっていました。





一応、僕の知識の範囲で動画の一括インポートを色々試みましたがどうにもうまくいきません。お客様の顔がみるみる怪訝な表情になっていくのを横目で感じ取りました。

結局のところ正直に「(いまの)僕にはできません」と前金で頂いていた料金をお返ししました。その方の時間を無駄に奪ってしまい、大変な申し訳なさと同時に自信をも失いました。

「この仕事はやめた方がいいのではないか?」とずいぶん悩みもしました。





(その後調べたところでは、動画は一括でインポートできないとヘルプに小さく書かれていました。後日その方にはお詫びとともにそのヘルプの内容をお伝えしました。)




それでも、「どうすればしっかりとお客様のお役に立てるだろうか」という視点で、もう少し続けてみようと思いました。






その後も度々失敗をしつつ、試行錯誤しながら少しずつ事業をかためていくことができました。

僕がやるべきことは先述のインプラント歯科医さんのようなFileMakerの初級者であったり、システムまわりの専門ではない現場に近い方を助けることなのだと気づいたのです。

それからは業務の規模が1名~30名程のあまり大きくない事業者、ITに特に詳しいわけではない普通の事業者(非エンジニアの方)、FileMakerが未経験~おおむね2年未満ほどの方のために注力することにしました。






この2つの失敗は僕の未熟さが招いた結果であり、今でも大変申し訳なく思っています。

と同時に、こうした失敗があったからこそ今があるので、とてもとても感謝しています。




そして、僕にとって大きな案件に巡り合うことになります。



FileMakerの仕事を選んで良かった

埼玉県新座市にある製造業さまからFileMakerレクチャーの依頼を頂きました。
この製造業さまと一緒に登壇したオンラインカンファレンスの内容はこちら▶



FileMakerの導入をトライしたいものの、まるで使い方が分からないからと4名さまにお教えすることになったのです。





一般的に中小企業がIT化やDXを進めるにはジレンマがあります。

製造業のシステムは数百万~数千万円規模の多大なコストがかかります。導入しても修正や改善にコストがかかり続けます。

コスト抑制のため自社でシステムを作ろうと思っても詳しい社員はいないし、専門の人材を雇うのも当たり外れがあるのでリスクがあります。






この製造業さまがFileMakerに着目したのは、初期導入コストのハードルが低かったことと、覚えれば自社でシステムを制作することができそうだから、というのが主な理由でした。

従業員規模は20~30名以内であり、FileMakerもほぼ未経験。まさに僕が最大限活かされる案件であり、僕自身の思想とも一致したので(システムは自社で作るのが理想)、二つ返事でご依頼を受ることにしました。






さて、1年後の結果からお伝えしますと、4名中1名がご自身の仕事とFileMaker制作を兼任しながら、自社で使うシステムを作れるまでになって頂けました。

他の3名の方も「FileMakerとはこういうものだ」ということを知って頂き、今後の社内業務がFileMakerシステムに変わっていく中できっと役に立って頂けたかと思います。




製造業さまはFileMakerを導入した結果、多大なコストをかけずに自社でシステムを持つ可能性を得ることが出来ました。

この先、制作の知識・経験・技術が増えていけば自社の基幹システムを作ることも充分可能になります。






レクチャーを終えたとき、お役に立てたことに誇らしく思えた自分がいることを感じました。

FileMakerの仕事を選んで良かったと、このとき心から思いました。





そしてこのミッションが終わった後、まさか次なるご依頼がくるとは・・・・・・



生産管理システムに挑む

レクチャーでは一度に4名にお教えした分、内容にムラも出て僕の中では100%満足のいくものではありませんでした。お教えする技術はこの時まだ未熟な部分が多かったのです。

そんな中、後日同じその会社さまから制作代行のような形でシステムを一緒に作ってほしいというご依頼を頂いたのです。






その時の僕には生産管理システムの制作経験はなく、果たしてうまくいくのだろうかと不安でした。それでも、受けることにしました。

理由は3つあります。


  1. 生産管理システムは仕様も複雑で、お客様ご自身で制作するにはまだ難しい部分も多い(つまり時間がかかる)と想像できたこと。
  2. 他の開発会社に依頼するとなるとイチから関係構築することになり、時間も費用も余分にかかる上に結局失敗する可能性も否定できないと思ったこと。
  3. であればお客様と一緒に僕自身の経験値も上げて共に成長していくのがWin-Winになりベストな選択だと判断したこと。



僕にとって生産管理システム制作そのもの以外にも課題がありました。

FileMakerを始めたばかりのお客様のレベルに合わせて生産管理システムという比較的難易度の高いシステムを制作できるか、です。

最終的にご自身でカスタマイズできるようになってもらうのが事業のコンセプトなため、どうするのがベストかを考えながら進めました。






月に2回の対面MTGでは、仕様を確認しながらも制作のエッセンスのようなものを伝えられるよう努めました。

制作が進めば、今度は制作方法などを惜しみなく共有して可能な限り理解してもらうようにも努めました。





そうした二人三脚での取り組みは半年以上にもなりました。やはりそれなりのシステム構築を実現するには時間がかかります。。

弊社ではある程度の目安期間はご提示しますが、基本的には明確な期間を決めません。人それぞれ、会社それぞれペースも内容も違いますし、状況も変わります。

システムを単純に区切ると使いづらいシステムが出来てしまうというのが僕の考えです。業務にフィットしてこそ、使う人にフィットしてこそ、システムは最大の効果を発揮します。






仮に些末な部分を無視して制作期間がきたからハイ終わり、にするとどうなるでしょうか。

業務スタッフの方はストレスを抱えながらシステムを使い続けることになるでしょう。





例えば実際にあった話しですが、見やすいだろうと思って文字を大きめにして作った画面がありました。ところが業務スタッフの方に使ってみてもらっても、どうにもしっくりこないというのです。

ご担当者さまによくよくヒアリングしてもらうと、実は文字の大きさよりもエクセルのように多くの情報が詰まった画面のほうが使い勝手が良いことが分かりました。




でもそれが真実です。使う人の中に答えがあります。

その真実をご担当者さまを通してシステム制作に落とし込んでいくのはなかなか骨の折れる仕事でした。






FileMakerに関わらずシステムを作る上で非常に重要なのが設計や仕様です。これは建物と似ていると思います。

しっかり設計ができていないと欠陥住宅になります。システム完成が100とすると、設計・仕様は50くらい占めると僕は思っています。

これは制作前だけではありません。制作中でも使う人が首をひねったら仕様の見直しをした方がいいと思っています。






次の章ではひとつコツをお教えしたいと思います。


共に成長し、共に感謝し合えること


生産管理システムはご担当者さまのご協力もあって1年経たないうちに運用開始までこぎつけることが出来ました。

製造スケジュール、進捗状況、営業と現場の情報共有、とおおむねご希望の仕様を実現することができて感慨深いものがありました。

さらに嬉しいことは、その会社さまから大変感謝されたことです。

こちらこそ大感謝であり、何よりも信頼を受けてご依頼頂けたことが大変誇らしい案件でした。






僕は自信を取り戻し、その後もいろいろな方からレクチャーの依頼を受け、お教えすることで腕も上がっていきました。

そうなってくると巡りも良くなるのか、3年目にはお客様の数は初年度と比較して3倍になっていました。

裏を返せばその分僕を必要として頂き、その都度喜んでくださるので本当にやり甲斐を感じています。





ここで、システム制作におけるコツをひとつお教えしましょう。たくさんたくさんある中でもここに書けるものをひとつ。




半年後、1年後の自分にメッセージを残すように作ること。






人間は忘れる生き物です。

3日前の食事の内容さえなかなか思い出せないと思います。これがシステムのことになったらどうなるでしょうか。一旦制作を終えれば中身にさわる機会が減り、半年も経てばすっかり忘れてしまいます。これはプロであっても同じです。




そのためプロは忘れないような作り方をするし、必要に応じてシステム内にメモを残します。そうしておくことで修正や改善が出たときにも対応が早くなります。

僕はお教えする際、「忘れかけた頃がチャンス」とご案内したりします。

「これ何だっけ?」となったときに、ご自身で思い出しやすいようにし直すことを推奨しています。FileMakerはそういうことが出来るツールでもあるので大変有り難いです。(※世の中には柔軟にできないツールも多数あります)






ここまでお読み頂き、本当にありがとうございます。次が最後の章になります。


未経験者や初級者にも可能性が拡がるFileMaker


FileMakerは専門の知識がなくても簡単にシステムを制作できることが売りのノーコード・ローコードツールと言われています。

でもそれは広告の要素が強く、データベース制作もプログラム開発も経験がない人にとってはハードルが高い場合があります。






僕はそこにずっと疑念を抱いてきました。

FileMaker制作は決して「簡単」とは言えないのではないか?と。

その疑念はようやくはっきりしてきました。データベース制作やプログラム開発を仕事にしているようなシステム担当者にとっては比較的「簡単」かもしれず、そうじゃない人にとっては逆に「難しい」ということです。

結局のところ、数年後も見据えたしっかりしたデータベースを制作するには、最低限の知識は必要です。



それでも、データベース制作もプログラム開発も経験のない方がシステムを制作することは可能です。なぜなら、僕がこれまで関わった方の多くがシステムを制作し、実際に運用しています。

システムを導入できると、極端に言えばこれまで10時間かかっていたものが1時間にできたりします。このようなシステムを制作する権利は誰にでもあるのです。

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「全ては小さな革新から始まる」の思考基盤を持ち、全ての人が心豊かにくらす日本を創る。
作業時間を10分の1に、人生の充足時間を10倍に。その貢献をする。



ジャパン・ビット・イノベーションの理念です。

これをまずはFileMakerを利用して推進していきます。




そのためには外部に頼らず、自社で、ご自身でシステムを制作しカスタマイズできるようにお客様にはなってもらいたいです。

場合によっては制作代行と並行してハイブリッドに進めるのも良いでしょう。

とにかく、業務を知る人が作るシステムこそ最高の形なのです。






さて、『 FileMakerの可能性 』についてです。

FileMakerがあれば、たいていのことは実現可能ではないかと強く思ったのが、可能性を感じた大きな理由です。(たいていのことが出来るためには、相応のレベルアップは必須です)。

FileMakerはプロコードも備わっていると言われるように、非常に拡張性が高いツールです。

データベース制作もプログラム開発も経験のない方であっても、制作経験を積んで慣れれば慣れるほど、学べば学ぶほど、発見すれば発見するほど、自身とシステムが共に成長していきます。

この「拡張性・成長性」が最大のFileMakerの可能性だと僕は考えています!






すべては小さな革新から始まります。

FileMakerでの自作システム支援はもしかしたら小さな革新かもしれません。
それでも、この小さな革新の積み重ねが、やがて今よりもっと良い日本を創るものと信じています。


~ fin ~





今日も良い一日を♪





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