本記事は、少人数の店舗や事業所などにおいて FileMaker を導入し、iPhone, iPad を使った運用をしている、またはしたい場合の参考になればと思います。
なお、初級の方には、やや難しい内容があるかもしれませんが、何となくでも伝わればと思います^ ^
このページでは次のような内容が書かれています。
- FileMaker によるサーマルプリンター印刷の確認
- iPhone,iPad によるサーマルプリンター印刷は案外ハードルが高い
- Bluetooth での印刷を探る
- Phomemo プリンターという一つの案(実証実験)
- Bluetooth 接続サーマルプリンター印刷のための条件
- まとめ
※本記事は FileMaker バージョン 19 の時のものです。
※結果だけ見たい方は「Phomemo プリンターという一つの案(実証実験)」以降をご覧ください。
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FileMaker によるサーマルプリンター印刷の確認
余談:僕は鼻炎持ちで、年中鼻をかんでいます。鼻が詰まって寝付けない夜もあります。いつだったか、「また来たか」と鼻呼吸ができず寝苦しい夜がありました。クチ呼吸は喉を痛めるので避けたいです。こうなったら人間の生きる本能に委ねてみようと、鼻呼吸を続けました。1ミリも呼吸できないのに。すると少しずつ息が通るようになり「さすが人体は偉大だ!」とウトウト思ったのも束の間。再び完全に詰まって呼吸ができなくなりました。死ぬ所でした。今生きているのは、その時諦めてクチ呼吸にしたからです(笑)。その後の研究(?)により寝ている時に鼻が通りやすい頭の角度が解明され、今では穏やかな鼻呼吸で寝付く日々です。さて本題です。
領収書やレシートを印刷する際、FileMaker をパソコンで運用している場合には比較的シンプルに構築できます。
詳しくは書きませんが、「印刷」というスクリプトステップに辿り着きさえすれば、何とかなるはずです。
詳しくは書きませんが、一応書いてみますか^_^
最も簡単な方法として、配置したボタンに単一ステップで「印刷」を設定しておきます。
印刷する時は、ボタンを押してダイアログが出た際にサーマルプリンタを選びます。これでとりあえずは印刷できると思います。これはパソコンでの話しです。
さてところが、 iPhone,iPad による FileMaker Go からサーマルプリンタで印刷しようとすると、途端にハードルが上がります。
* FileMaker Go とは iOS にインストールして FileMaker データを扱うための無料アプリです。(画像はバージョン 19 のもの)
iPhone,iPad によるサーマルプリンタ印刷は案外ハードルが高い
なぜハードルが高いのか。それは、次のような様々な条件が必要になるからです。
- iPhone,iPad で印刷するには AirPrint 機能が備わったプリンターが必要(基本的には)。
- AirPrint が備わったレシート・領収書用のサーマルプリンター製品はあまり多くない。
- 製品はあるにはあるが、普通のサーマルプリンターより金額的に割高。
- さらには、ちょっとしたプログラム的な組み込み設定(SDK)が必要。
- 極め付きとして、AirPrint はプリンターに非常に負荷がかかる技術であり、印刷時間が掛かりすぎて領収書やレシートの発行は向いていない(あるメーカーサイトからの情報)。
AirPrint 関連で色々ネットを検索してみましたが、結局 iPhone,iPad で FileMaker Go から "気軽に" ワイヤレス印刷する方法を見つけられませんでした。
FileMaker Go を使った印刷で最もハードルが低そうなのは、iWare 社さまが提供している「PrintAssist」というアプリを使った印刷です。(嬉しい買い切りタイプ)
こちらもプログラム的な組み込み設定に似たことをする必要はありますが、FileMaker の方で設定を行うので比較的ハードルはやや下がります。
使い方などは p388cell さんの note に詳しいのでご興味があればご覧ください。
AirPrint がダメなら Bluetooth での印刷はどうなんだろう?と、今度はそれに絞って色々探ってみました。
Bluetooth での印刷を探る
AirPrint じゃないとダメだと言ってるのに、「Bluetooth でどうにか出来ないものか?」「何かあるんじゃないか?」と、今考えれば無謀な反骨精神が湧き上がってしまいました^_^;探ってみると、Bluetooth の印刷は2つに分かれる感じでした。
一つはThe・専用機器という感じのもの。もう一つは比較的安価でメーカー専用アプリを介するものです。
The・専用機器
The・専用機器のほうは、結局 SDK (組み込み設定) が必要だったり、比較的高額だったりします。よって、どうしてもこれらを使う必要がある場合は前述の「PrintAssist」を使うのがスムーズかと思います。
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比較的安価なプリンター
※※※※※※※※※※※※※※※※※ 注意 ※※※※※※※※※※※※※※※※※
以降のサーマルプリンターは海外製であり、印刷で使うアプリも海外製です。
機密情報などの印刷にはオススメしません。
情報流出しても問題ない印刷や個人の印刷の範囲であれば便利に使えます。
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以降のサーマルプリンターは海外製であり、印刷で使うアプリも海外製です。
機密情報などの印刷にはオススメしません。
情報流出しても問題ない印刷や個人の印刷の範囲であれば便利に使えます。
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比較的安価なプリンタ―は、ほとんどが Bluetooth 接続で、専用アプリを使って印刷するものです。
以前、お試しでハンディサーマルプリンター(Paparang)を買って持っていたので、もう一度確認してみました。(以前の記事 ▶領収書出力|手のひらサイズのプリンターとシステム連携(っぽく)してみた↗)
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メーカー専用アプリなので、残念ながら FileMaker Go とは連動しません。
ほとんどの安価で似たような Bluetooth によるサーマルプリンターはこのように独自のアプリを使って印刷する仕様かと思います。
やはりダメか・・・・・・、と思いながら色々いじっていると、アプリの中に「ファイルプリント」というものが目に入りました。
「もしかして、PDF 印刷ができるということか?」
早速、FileMaker Go で PDF を作成してみたりと色々やっていると、共有送信メニューに プリンターアプリ を出せることに気づきました。
*内容はテストデータです
試しに選択してみると、割とスムーズに PDF 印刷の画面が開きます。
*内容はテストデータです
「これは・・・・・・、もしかしたら何とかなるんじゃないか!?」
そこで思いついた流れはこうです。
① FileMaker Go で PDF を作成し、保存。
②保存完了と同時に その PDF が開くようにしておく。
③共有送信でプリンターアプリ(この場合は Paparang )を選ぶ。
④アプリの印刷ボタンを押して印刷。
⑤印刷が終わったら機種画面左上のリンクから FileMaker Go に戻る。
早速やってみると、思いのほかスムーズに出来ました。
「これは・・・・・・、いいんじゃないか!?」
難点は紙のサイズです。
どうやら紙幅に縮小されて印刷されるようで、58mm のロール紙だと文字があまりに小さすぎるのが欠点です。
「ならば、似たような仕様で 80mm 幅のサーマルプリンターを探せばいいんじゃないか!?」
▶お仕事の問合せはこちら↗
Phomemo プリンターという一つの案(実証実験)
それで見つけたのが「 Phomemo 」(フォメモ?)というプリンターです。1万円前後で購入でき、費用的にはまずまずです。
(数万円とかではないので、仮に機器が壊れても再調達は気がラク)
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え?ちょっと待って、レシートサイズからA4サイズまでの製品も出たの!?
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一連の印刷の流れ
先に、領収書を印刷する流れを動画でご覧ください。オモチャみたいな機器に見えますが、なかなかどうして良い感じです。
80mm 幅の感熱紙で印刷すれば、程よい感じのよくある領収書を印刷することが出来ます。
割とスムーズに印刷まで出来ますし、印刷スピードもそこそこ速いです。( Bluetooth への接続をし忘れていると最初だけモタつきますが)
残念ながら "1回の印刷で1ページ分だけの長さ" という欠点があり、連続した1枚の長いレシートには向きません。(2ページ、3ページという複数印刷は可能)
内容が長くなる場合は複数ページを連続で印刷する工夫が必要かもしれません。
FileMaker 側の仕組み
では、FileMaker 側の仕組みを見てみましょう。まず印刷レイアウトですが、最初は「A4」で作成したものの、より縦長の「Legal」というサイズが良さそうでした(これはWindows環境です)。
▼
紙幅 80mm より大きいレイアウトであれば A4 でも B4 でも良いと思いますが、極力縦長の紙サイズの方が1ページ内に印刷できるエリアを広く取れそうです。
レイアウトに合わせるため文字サイズは結構大きめです。
ゴチャゴチャして見えるのは、マージフィールドを使っているためです。
*マージフィールドについてはこちらの記事をどうぞ ▶【中級向け】文章中の各所にフィールドの内容を余白なしで違和感なく出力したい↗
薄い緑色の枠を置いて「Legal」の大体の大きさを示しています。その内側に配置すればうまく収まります。「印刷時に非表示にする」にチェックを入れておけば印刷されません。
次にスクリプトですが、おおまかな流れとしてはこんな感じです。
- 新規ウインドウで印刷用レイアウトを開く
- 保存するパスを用意しておく。
- レコードを PDF として保存し、「自動的に開く」を設定しておく。
保存場所は、ひとまず目に見えるように「ドキュメントパス」を指定しておきました。
*FileMaker Go の場合、「マイ App」の画面に出てきます。
ミソは PDF 保存のステップで「自動的に開く」にしておく箇所です。
これにより、PDF が保存されたと同時に開かれるので、その後の印刷の流れがスムーズになります。
概ね良い感じではありますが、80mm 幅の感熱ロール紙があまり市場に出ていないのが気になります。
あるにはありますが、お試しで1ロールだけとか2ロールだけ買うのは難しそうです。(買うならドドンと箱単位)
僕は医療計測器用の 80mm ✕ 40mm の感熱ロール紙を見つけて購入してみましたが、穴径が小さくて軸棒が入らず、さらに直径 40mm ではロール部の蓋が閉まらず、挙げ句に紙質もペラペラで切りにくい、などトホホな感じでした。。
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仕方なく、自分で軸棒に巻き巻きして(手で巻いて)、テスト用として使っています(笑)
直径 30mm の感熱ロール紙もありますが、30mm でも蓋は閉じないようで、蓋を開けたまま印刷することになります(ショッピングサイトのレビューから)。
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Bluetooth 接続サーマルプリンター印刷のための条件
今回「 Phomemo 」を使ってみたのは、80mm 幅のハンディサーマルプリンターが手頃な値段で他に見つからなかったからです。恐らく次の条件が当てはまれば、別のプリンターでもいけると想像しています。
iPhone,iPad による Bluetooth 接続のサーマルプリンター印刷のための条件
- 80mm 幅の感熱ロール紙を使える
- Bluetooth 接続が可能
- 専用アプリで印刷を行う
- 専用アプリで PDF (ドキュメント) 印刷ができる
※条件はあくまで推測です
※100%の動作保証はできませんので、試す場合は必ず自己責任にてお願いいたします。
まとめ
「こんなに時代が進んでいるのに、なぜ手軽に FileMaker Go で、iPhone,iPad でレシート印刷ができないのか?」こんな不満が僕を動かしていました。
正直、不遇とも、無駄とも言える時間を多く過ごしましたが、諦めず探ってようやく本記事を書くことができました。
領収書やレシートの印刷頻度が、一日に数回程度であれば悪くない手段なのかな?と思います^ ^
(というか、早く AirPrint できるお手頃価格のサーマルプリンターが出てくれれば解決するのだが)
このように FileMaker は様々に工夫できるところが素晴らしく、面白いところでもあります。
単発の対面サポートやSNSメッセージサポートで今回の方法をお伝えすることは出来ますので、どうしても取り入れてみたいという方は具体的な内容を添えてお問合せください。
※尚100%の動作保証はできず、あくまで "一緒にトライしアドバイスを得る" ということになりますのでよろしくお願いします。
今日も良い一日を♪
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